SEO対策の費用相場|Web担当者がいない中小企業が「月10〜30万円」で何を買うべきかの判断基準
SEO対策にかかる費用を外注・内製・ツールの3パターンで比較。中小企業が最適な方法を選ぶための判断基準を解説。
ATK編集部
ATKコラム編集部

目次
結論:SEO対策の費用は「月いくら払うか」ではなく「3層のどこまでを買うか」で決まる
SEO対策の費用は月3万円台から100万円超まで幅があります。結論から言えば、金額の大小より「戦略設計」「記事制作」「計測・改善」の3層のうち、どこまでが見積もりに含まれているかで成果が分かれます。3層のどれかが空白のまま契約すると、支払いは発生しているのに公開記事が増えない状態になります。
この記事では、3つの選択肢の費用レンジを表で比較し、自社の予算・体制に当てはめて判断できるチェックリストと、投資回収月数を自分の数字で計算する式を示します。
この記事は「Web専任者がいない従業員10〜50名の会社」を想定している
想定している読者は次のような立場の方です。
- 会社の規模:従業員10〜50名程度。製造業、士業(税理士・社労士・行政書士など)、BtoBサービス業、地域密着の専門サービス業
- 体制:Web専任者はいない。社長、営業部長、総務・広報の担当者がマーケティングを兼務している
- 予算感:月10〜30万円の範囲でSEOに投じられるか検討している。年間で見ると120〜360万円の意思決定になる
- 現状:コーポレートサイトはあるが更新が止まっている。問い合わせは紹介・既存顧客経由が中心で、検索からの新規流入がほぼない
- 不安:見積もりを2〜3社から取ったが、金額も内訳もバラバラで比較のしかたが分からない
この記事は、社内に実行できる人がいない前提で「どこまで外に出し、どこを自社で持つか」を決めるための判断材料です。Web専任者が複数いる企業や、すでに月100本規模でコンテンツを回している企業には当てはまりません。
SEO対策の費用相場は3つの選択肢でどう違うか
SEOの進め方は大きく「SEOコンサルティング会社への外注」「記事制作の外注」「AIツールの活用」の3つに分かれます。以下は市場で提示されることの多い見積もり帯を整理した目安レンジであり、統計調査に基づく数値ではありません。実際の金額は必ず見積書で確認してください。
| 比較軸 | SEOコンサルティング | 記事制作の外注 | AIツール活用 |
|---|---|---|---|
| 月額費用の目安 | 15万〜100万円 | 1本1万〜5万円(月8本なら8万〜40万円) | 3万〜15万円 |
| 初期費用の有無 | 初期分析・サイト診断の費用が別建てになることがある | 基本は本数課金。ディレクション費が別途かかる場合がある | 初期設定費用が無料〜数万円のことが多い |
| カバーする層 | 戦略設計が中心。制作は別途が多い | 記事制作のみ | 製品により戦略・制作・計測の範囲が大きく異なる |
| 社内で必要な工数 | 大(方針を受けて実行するのは自社) | 中(キーワード指示・監修・入稿は自社) | 中〜小(誰が回すかを決めれば運用は軽い) |
| 成果が見え始める目安 | 公開が始まってから3〜6ヶ月以上 | 公開が始まってから3〜6ヶ月以上 | 公開が始まってから3〜6ヶ月以上 |
| 向いている状況 | 予算に余裕があり、実行部隊が社内にいる | キーワードと構成を自社で決められる | 専任者がおらず、少ない工数で本数を積みたい |
どの手段を選んでも、検索結果に反映されるまでの時間は買えません。費用差は「速さ」ではなく「誰がどの作業を負担するか」の差だと理解してください。
SEOコンサルティングは「助言」を買う契約になりやすい
戦略設計、キーワード選定、記事の監修、効果測定までを専門会社に依頼する形です。専門家の知見を使える一方、契約書上は助言と分析が業務範囲で、記事の執筆・入稿は含まれないことが少なくありません。提案書に「コンテンツ支援」と書かれていても、それが構成案までなのか、公開まで含むのかは必ず確認が必要です。
記事制作の外注は品質のばらつきが実質コストを押し上げる
クラウドソーシングやライター事務所に執筆を依頼する形です。単価が下がるほど、業界知識の補足・事実確認・修正指示の負担が発注側に戻ってきます。記事外注の実質コストは「本数×単価」ではなく「本数×単価+社内の確認工数×人件費単価」です。
AIツールは「どの層までカバーするか」で価値が変わる
AIを使って記事制作や分析を効率化する方法です。選定時の分岐点は、記事の生成だけなのか、キーワード選定・構成設計・公開後の順位や流入の確認まで一貫して扱えるのかです。文章を出力するだけならコストは下がりますが、戦略と計測が抜けると「本数は増えたが何が効いたか分からない」状態になります。
費用の中身は「SEO費用3層診断」で分解すると穴が見える
見積もりを比較するとき、金額を並べても判断できません。そこで本記事では、費用を「SEO費用3層診断」という枠組みで分解します。層1=戦略設計、層2=記事制作、層3=計測・改善です。3層のうち1つでも「誰も担当しない空白」があると、支出は続くのに成果が出ません。
| 層 | 具体的な作業 | 抜けたときに起きること | 自社で持てるか(○△×を記入) |
|---|---|---|---|
| 層1:戦略設計 | 対象顧客の定義、キーワード選定、優先順位付け、記事の目的設定 | アクセスは増えても問い合わせにつながらないキーワードばかり増える | |
| 層2:記事制作 | 構成作成、執筆、専門知識の反映、図表作成、入稿・公開 | 方針だけが手元に残り、公開本数がゼロのまま月額だけ払い続ける | |
| 層3:計測・改善 | 流入・順位・問い合わせ数の確認、リライト対象の判定、改善実施 | 効いた記事と効かない記事の区別がつかず、投資判断ができない |
使い方は3ステップです。
- ステップ1:検討中の見積書を開き、各社の作業範囲を層1・層2・層3に振り分ける
- ステップ2:どの層にも入らなかった作業を書き出し、「自社の誰が、月何時間で担当するか」を名前と時間で埋める
- ステップ3:担当者名が埋まらない層が1つでも残ったら、その見積もりは金額に関わらず保留にする
費用をかけても成果が出ない失敗は、この3パターンに集約される
以下は、3層のどこかが空白のまま進んだときに起きやすい典型パターンです(特定の企業の事例ではなく、条件を立てた想定です)。
パターンA:月額コンサル費は払っているが、記事が1本も公開されない
月額でコンサルティング契約を結び、キーワードリストと構成案は毎月届く。しかし執筆は契約範囲外で、社内には書ける人も時間もない――というパターンです。3ヶ月後に手元に残るのは未着手の構成案の束で、公開本数はゼロ。層1だけを買い、層2の担当者を決めていないと、支払額と成果が完全に切り離されます。契約前に「今月公開される記事は何本で、誰が書くのか」を必ず一文で確認してください。
パターンB:単価の安い外注に発注し、修正工数で結局高くつく
1本1万円前後で記事を発注したが、業界の商習慣や法規制の理解が浅く、事実確認と書き直しに担当者が1本あたり数時間を取られる――というパターンです。表面上の外注費は安くても、社内工数を人件費単価で換算すると、実質単価は当初想定を上回ります。記事外注を検討するときは、単価だけでなく「1本あたり自社で何時間かかるか」を事前に見積もってください。
パターンC:本数は積み上がったのに、問い合わせが増えたか分からない
ツールを導入して記事は増えたが、計測の担当が決まっておらず、公開後に流入も順位も問い合わせ経路も確認していない――というパターンです。半年後に継続可否を判断しようとしても、「効いた記事」と「効かなかった記事」を切り分ける材料がありません。層3が空白だと、次の予算を増やすべきか減らすべきかを社内で説明できなくなります。最低限、月1回「検索からの流入」「問い合わせ件数」「問い合わせの入口ページ」の3項目を見る担当と日程を決めておきます。
その費用は何を生むのか:問い合わせ数×成約率×平均単価で逆算する
SEOの費用対効果は感覚では判断できません。売上が動く経路は「検索流入セッション × 問い合わせ率(CVR) × 商談化率 × 成約率 × 平均受注単価」で表せます。ここに投資回収の視点を足すと次の式になります。
- 月間の受注金額= 月間セッション(A) × CVR(B) × 商談化率(C) × 成約率(D) × 平均受注単価(E)
- 月間の粗利寄与= 月間の受注金額 × 粗利率(F)
- 投資回収月数= これまでの累計投資額 ÷ 月間の粗利寄与
- 工数側の効果= 月に削減できる時間(G) × 社内の人件費単価(H)
以下の数値はすべて仮置きです。自社の数字に置き換えて計算してください。実在の顧客の実績ではありません。
| 変数 | 仮の値(例示用) | 自社の値 |
|---|---|---|
| A:施策後の月間検索流入セッション増加 | 500 | |
| B:問い合わせ率(CVR) | 1% | |
| C:商談化率 | 60% | |
| D:成約率 | 30% | |
| E:平均受注単価 | 30万円 | |
| F:粗利率 | 50% | |
| 投じている月額費用 | 15万円 |
この仮の値で計算すると、500 × 1% = 問い合わせ5件、5 × 60% = 商談3件、3 × 30% = 成約0.9件、0.9 × 30万円 = 月27万円の受注、粗利は約13.5万円です。月額15万円を投じているなら、この時点では月1.5万円の持ち出しになります。つまり、成約単価が低い業種ほど「セッション数」ではなく「問い合わせ率と成約率」を上げないと採算が合いません。
6ヶ月間、月15万円を投じて累計90万円、7ヶ月目以降に月13.5万円の粗利が続くと仮定すれば、投資回収月数は 90万円 ÷ 13.5万円 ≒ 約7ヶ月、開始から数えて13ヶ月目前後という計算になります。継続取引のある業態なら、E に単発の受注単価ではなくLTV(平均継続期間 × 年間取引額)を入れて再計算してください。回収月数の見え方が大きく変わります。
工数側も同じ考え方で計算できます。記事1本の制作に社内で5時間かかっていたものが2時間になり、月8本作るなら削減24時間。人件費単価を時給換算3,000円と仮定すれば月7.2万円分の工数が浮く計算です(この単価も仮の値です。自社の給与から算出してください)。費用の妥当性は「月額いくらか」ではなく「粗利寄与+削減工数の金額が月額を上回るか」で判断します。
予算別・体制別に、どれを選ぶかを判断するチェックリスト
3層診断と回収計算の結果を、予算と社内体制に当てはめると選択肢が絞れます。
| 自社の状況 | 優先する構成 | この構成で必ず埋めるべき空白 |
|---|---|---|
| 月50万円以上の予算があり、実行できる社内担当が1名以上いる | SEOコンサル(層1・層3)+記事制作外注(層2) | 入稿・公開の最終責任者。ここが曖昧だと公開が滞る |
| 月10〜30万円の予算で、専任者がいない | 戦略・制作・計測を一体で扱えるツールや支援を軸にする | 月1回の数値確認を誰がやるか(層3) |
| 月10万円未満で、社内に書ける人が1名いる | ツールを使った自社運用 | キーワード選定の判断基準(層1)を先に文書化する |
| 予算はあるが、社内に誰も時間を割けない | 制作から公開までを含む形に限定して発注する | 助言のみの契約は避ける。層2を含まない見積もりは保留 |
契約前に確認する項目は次の5つです。1つでも「いいえ」があるなら、その見積もりはまだ判断材料が足りません。
- 層1・層2・層3のすべてに、社内外どちらかの担当者名が入っているか
- 月に公開される記事の本数が、契約書または提案書に明記されているか
- 記事の修正・リライトが何回まで含まれるか、追加費用の条件が書かれているか
- 成果の確認指標(流入・問い合わせ件数・入口ページ)と報告頻度が決まっているか
- 上の計算式に自社の数字を入れて、月額費用を上回る粗利寄与が現実的に見込めるか
SEO対策の費用に関するよくある質問
SEO対策の費用は月いくらから始められますか?
ツールを使った自社運用であれば月数万円台から始められる価格帯が存在します。ただし金額の下限より、層2(記事制作)を実際に誰が担当するかが決まっているかが先です。月3万円でも書く人がいなければ公開本数はゼロになり、費用対効果は計算不能になります。
記事外注とAIツールでは、どちらが安く済みますか?
月あたりの支払額だけならツール活用のほうが低く収まりやすい傾向があります。ただし比較すべきは支払額ではなく「支払額+社内工数×人件費単価」です。外注は執筆時間が減る代わりに指示・確認の工数が残り、ツールは操作と最終チェックの工数が残ります。上の工数計算式に自社の時給換算を入れて比べてください。
SEO対策は何ヶ月で効果が出ますか?
一般に、記事の公開が始まってから3〜6ヶ月以上の継続が必要とされます。重要なのは「契約開始から」ではなく「1本目が公開されてから」数えることです。契約から公開まで2ヶ月かかれば、その分だけ判断時期は後ろにずれます。予算計画は、公開開始月+6ヶ月分を確保できるかで組んでください。
安いSEO業者に頼むと何が起きますか?
価格が下がる分、どこかの層が削られています。削られやすいのは層1の戦略設計と層3の計測・改善です。結果として、検索されないキーワードの記事が量産される、公開後に何も検証されない、といった状態になりがちです。見積もりが安いと感じたときは、3層診断の表に当てはめて、どの作業が含まれていないかを確認してください。
SEO対策の費用は経費として月額で払うべきですか、本数ごとに払うべきですか?
公開本数と支払額を連動させたいなら本数課金、戦略と改善を継続的に受けたいなら月額が向きます。専任者がいない体制では、支払いが発生しても作業が進まない「月額×助言のみ」の組み合わせが最も危険です。月額契約にする場合は、成果物(公開記事・レポート)の最低本数を必ず明記してもらってください。
自社に業界知識があるライターが見つかりません。どうすればよいですか?
専門性は外部に丸投げせず、社内から取り出す設計にするのが現実的です。営業担当がよく聞かれる質問、見積もり時に必ず出る懸念、断られる理由を10個書き出せば、それがそのまま記事のテーマと専門性の源になります。執筆そのものより、社内の知見を引き出す工程を誰が持つかを決めるほうが品質への影響が大きくなります。
まとめ:3層診断で空白が1つでもあるなら、金額の比較より先にやることがある
ここまでの判断軸を整理します。SEOの費用は、層1(戦略設計)・層2(記事制作)・層3(計測改善)のすべてに担当者名が入って初めて、月額の妥当性を議論できます。そのうえで、問い合わせ数×成約率×平均単価×粗利率で月間の粗利寄与を出し、月額費用を上回るかを確認する――この順番です。
次の3つの条件のうち1つでも当てはまるなら、見積もりの比較を続けるより、まず自社サイトの現状を数値で把握したほうが早く判断できます。
- 3層診断の表で、担当者名が埋まらない層が1つ以上ある
- 回収計算に入れる「現在の検索流入セッション」と「問い合わせ率」が分からない
- 提案を受けているが、月に何本公開されるのかが提案書から読み取れない
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